CONCEPT

医療施設・福祉施設の現状

世の中では病院不足、高齢者施設不足と言われていますが、実際は経営難から施設をたたむケースも少なくありません。

医療施設、福祉施設はすでに特別な存在ではなくなり、競合を余儀なくされています。

他施設とサービス全般を比較され、そこに著しい差がある場合は淘汰される時代が訪れています。

医療施設であれば歯科系と産婦人科系は特にその傾向が強く、新規開業のクリニックはどんどんきらびやかに作られています。

福祉施設では、利用が容易なデイサービスの分野において著しく、規制緩和による事業者の増加もあいまって、利用者から選ばれる時代が始まっています。

今後新規開業をお考えのドクター、医療法人、社会福祉法人、または株式会社などの事業主の方々には、これまで同様の施設然とした箱形の建物をつくることが果たして生き残りに繋がっていくかどうかを、今一度お考えいただくことをお勧めしています。

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施設然としたデザイン

あちらこちらで新規開業する施設を見かけますが、そのほとんどが利用者側のニーズを意識していない単なる ”ハコモノ“ かもしくは

「クリニックっぽい」「病院っぽい」「特養っぽい」「デイサービスっぽい」・・・

といったように、従来のデザインを踏襲したものに終始しています。

比較・競合の時代を迎えた今、利用者のニーズを汲み取ったデザイン、そして時代の変化に沿って陳腐化しないデザインが必要とされているのではないでしょうか。

いわゆる ”差別化“ です。

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安心・安全は当たり前

生命や健康を担う施設であるので、安心や安全はもはや当たり前です。

  • 段差を無くしバリアフリーとする。
  • 割れにくいガラスを採用する。
  • 鋭角のない造りとする。
  • 空気の流れをコントロールし、衛生・不衛生のエリアを混合させない。
  • 必要に応じて、隔離室・隔離動線を設け、施設内感染を防ぐ。

などなど、医療施設・福祉施設としての基本機能を重視した上での設計デザイン提案を行います。

 

地域に長く愛されるデザイン

医療施設・福祉施設は遠距離からの利用者よりは、施設が建つ地域に密着し、そこに住まう方々に長く愛されることがとても重要であると考えています。これを実現するために、以下のデザイン骨子に則って設計デザインを進めていきます。

  • 派手なデザインではなく、個性的なデザインを提案します。
  • ピカピカの真新しさよりも、清潔さを重視します。
  • 古さが味わいとなる素材を選定します。
  • 流行のデザインに乗りすぎない。
  • デザイン性よりも機能性を優先させる。

設計者ができること

私たち設計者ができることは、そんなに多くありません。

施設が長く愛されるための最も重要な要素は、やはり ”人と人の関わり合い” です。

初来所時に、受付の方が笑顔で分かりやすく説明をしてくれた。

ドクターの診療説明が分かりやすく、とても話しやすかった。

など、リピーターの中で最も多い意見が、施設側のソフト面におけるサービスによるものです。

私たち設計者ができることは、新規開業時に

  • 行ってみたくなるデザイン」とすること
  • 「ストレスなく快適に過ごすことのできる空間」を提供すること
  • 「無駄のない機能性の高い計画」とすること

主にこの3項目であると考えています。

 

遊び心-アソビゴコロ

これまでの医療施設・福祉施設には、圧倒的に『遊び心』が不足していると感じます。生命や健康を担う施設であるので、ルールに大して厳格であることは絶対条件ですが、空間やデザインまで張りつめる必要があるのでしょうか。

医療施設において「待合い」は順番を長く待つ場であり、重大な検査結果などを聞くまで待機するところでもあるので、少しでも気を抜けるようにカフェや喫茶店のような空間にすることも、選択肢の一つであると考えています。

福祉施設においては、本来自宅で過ごしたい方が、さまざまな理由により施設に入居しているケースがほとんどなので、やはり自宅を意識した過ごしやすさを如何に再現することができるかが大きなポイントであると考えます。

介護スタッフ側の視点もあるので、簡単に実現できないことも想像できますが、例えばベッド+椅子テーブルという生活のベースとなる家具を、タタミ布団+ちゃぶ台(コタツ)とした施設があってもよいと考えます。

入居者の介護レベルや障害の状況により、全面は難しくとも一部そのようなエリアを設けるなど、差別化を積極的に進めていくことがこれからの施設設計には求められていくと確信しています。

 

 

江川竜之建築スタジオ 事業内容

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